「まる」ないちにち

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 トラウマについての勉強

:: 2011/10/03(Mon) ::

久しぶりに真面目な話。

私、2009年の秋から大学院で特別支援教育の勉強を始めて、一応、全ての単位を履修し、今は修士論文に取り組んでいます。来年の4月終わりに修士論文を提出し、合格できれば、来年の夏には卒業。ちょっと前にもちらりとお話ししましたが、日本の特別支援教育とインクルージョンについて、調べているところです。〆切までまだまだあるので、それまでゆっくりと勉強しよう・・・なんて思っていたのですが。

この9月から、また大学院で勉強を始めてしまいました (笑)。実際には日本とイギリスの大学院制度が違っているので、その授業を全部履修しても「大学院卒業」とはならないのですが。勉強したという certificate (証明書) が発行されるだけ。(つまり、修士論文は書かないでよい、ということ!) ま、これは置いといて。


何を勉強し始めたかと言うと、タイトルにあるように「トラウマ」の勉強なのです。


3月11日に起きた東日本大震災では、色々と考えさせられました。直接の被災者でもない私ですが、本当に真剣に考えさせられました。最初は、海外にいて私ができることって何だろう・・・やれることはお金を集めて送ることだ、と思い、クラスメートにお願いして募金をしたり、街頭で募金活動をしたり、知人の日本人が起こしたイベントに参加させてもらったりしたものの、自分でも何かできないだろうか・・・そう強く思うようになりました。そこで、店頭での募金活動や、学校で日本の活動を通じて募金を呼びかけようとしたものの、見事に全部断られました。

断られたということはショックなことですが、「この活動は私ができることではない」- そう思うことにしました。じゃ、何ができるのか。私だからできることって何があるのだろうか、その答えが見つからず、悶々とした毎日を送っていました。

そんなとき、私のブログにも「自分の子どもが津波の映像を見て、怖がってしまっている」「日本に帰りたくない、と娘が言っている」というコメントをいただいたものの、専門家ではない私には、一般的な知識と子どもとの接してきた経験から、どうしたらいのかを言えるだけでした。もっときちんとした知識を身につけることができたら、と思うようになったのです。

そんな折、NHK のポッドキャストで聞いたのが「子どもの心的外傷」について。今回の震災で多くの子どもが心に何らかの傷を負っている。でも、それを開放できる場所 (この場合は人なども含む) がない、という話を聞き、日本でのトラウマの研究について調べてみると、欧米と比べてかなり遅れていることが分かりました。

そして、リンクを貼らせていただいているゆるやかな時間のサラさんのご主人も、医者として被災地へ赴き、その後、震災の夢を見続けている、というお話を読んだときに、この震災がどれだけの人にストレスを与えているのか、ということをかなり意識するようになりました。

日本では、今回の大震災だけでなく、原発によってつらい思いをしている人たち、そして、今後も、いつ地震が起きるかわからない日本という国にとって、心のケアをしてくれるところがもっと必要になるのではないのか、そう強く感じました。私自身、いつ日本に帰国するかわからないけれど、ボランティアでもいい、日本でそういった人たちの心のケアができるのなら、それが私のできることなのではないだろうか・・・。特に、私ができるのは子どもたちへの支援なのではないだろうか。子どもたちのために、何かをしたい。そう強く思うようになったのです。


すぐに、心理学の教授をしている知人に連絡をし、イギリス国内でトラウマの勉強ができるところを聞くと、ノッティンガム大学院とのこと。偶然にも、この大学、私が今現在、通っているところなのです。そこで、コース内容を調べてみると、カウンセラーやトラウマ関係の仕事をしている人を対象に、実地経験をもとに授業が行われるとのこと。・・・私、全くの未経験。無理じゃん。

でも、ダメもとで教授にメールを送ったら、
「今回の東日本大震災での犠牲者に心よりお見舞いを申し上げます。あなたの国で起きたこの出来事が多くのストレスを生み出し、PTSD (心的外傷後ストレス障害)を起こしてしまうのを見るにつけ、心が痛みます。あなたが、そんな人たちのためにできることをこのコースで学んでくれるのなら、私も嬉しい限りです。ぜひ、コースに申し込みしてください。一緒に勉強できることを楽しみにしています。」
というお返事をすぐにいただきました。経験のない私でも、何か学ぶことができるだろう・・・、そう思い、申し込みをすることにしました。


7月の終わりごろ、申し込みをし、8月中旬には合格通知をいただきました。ただ、この合格通知、笑ってしまいました。
普通はただの offer (オファー:受かったので、来てもいいですよ、ということ) なのに、私の合格通知書はamended offer (修正されたオファー) というものだったのです (笑)。きっとこんなオファーをもらったのは、私くらいだと思います。友人の大学教授に聞いても、そんなオファー、聞いたこともないって。

というのは・・・
選考条件は
「3年以上のトラウマを負った患者とのカウンセリング経験のある人」
「大学で心理学を学んだ人」
選考試験は
「自分の経験についての3500字程度の論文」。

大学で心理学は勉強したけれど、トラウマに関しては未経験の私。選考試験の論文に関しては「どうしてもトラウマについて勉強したい!自然災害で傷ついている人の力になりたい!子どもたちを放っておけない!」という熱い思いを書いた1000字程度の作文 (笑)。

こんな生徒を合格させるにはあまりにも他の生徒との差がありすぎるのでは・・・
普通の合格にしてしまうと、他の不合格になった人との兼ね合いが取れない・・・
でも、この熱い思いを叶えさせてあげたい・・・
など、教授陣と事務局と話し合ったのではないか、それで、合格条件を修正しての合格になったのではないか、とは先の大学教授をしている友人の話。

ま、合格をいただいたので、よし、なんです、私には。ありがたい限りです。


募金活動などの申し込みは、ことごとく断られているのに、不思議と、このコースに申し込みをすることに関しては、何の障害もなく進んで行ったのです。これが私のできることなんだろう、そう思うことにしました。

このコースがようやくスタート。9月30日、10月1日の二日間にわたって、第1回目の授業が開講されたのです。この授業が本当におもしろかった!これに関してはまた明日。


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おまけ。

来年度から、イギリスは大学の授業料が大幅に値上がりします。何と、3倍も。

3年前に特別支援教育の大学院コースに私が払ったのが£4,000 (約48万円)。4種類のモジュールと修士論文の分が含まれています。

これが、来年には£12,000 (約145万円) になってしまうのです。

今年から始めたトラウマのコースはcertificate を習得するための1年間のパートタイムで、修士論文もなくモジュールも2種類のみで、£1,400 (約17万円)。 これが来年から£4,200 (約50万円)。

やはり、今年勉強しなさい、ということだったんですね~。(←何でも都合よく解釈していまう私です:笑)
何だか、得した気分。

*為替は£1=\120で計算しています。
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comment

トラウマですか? もう、是非勉強していただいて、今後相談させてください!!

犬にもあるのですよ。。。
今回の東日本大震災で、かなりの仔たちが家族を失ったり、離ればなれとなりましたが、引き取って貰えなくて、東京で預かっている人たちが何人か知り合いにいます。
やはり、何らかのトラウマがあるようなんですよ。。。
ノッティンガム、ミッドランドですが、冬は寒いらしいですね。毎日じゃなくても、冬の通学は辛そう。。。頑張ってください!
  1. 2011/10/03(Mon) 06:53:18 |
  2. URL |
  3. B&J #aRTWBpno
  4. [ 編集 ]

トラウマ ・・・

良いタイミングを得られたこと わがことのようにうれしいです。
そして、いつも自分にできることを着実に前に一歩進めていかれるその姿勢に 本当に感動するばかり・・・
特別なオファーも学費のことも 「まる」と受け止められることも haykichiさんらしくて素敵だなって思いました。

体験を乗り越える ことができなかった思い について 私もお聞きしたいです。
弱虫 と 片付けられている気持ちを どうにもできないこと。 抱く大いなる不安は 何処かへ除くことができるのか 教えていただけるなら うれしいです。
大変なお勉強が続くことでしょう。がんばって下さいね。応援し続けたいと思います。
  1. 2011/10/03(Mon) 12:13:54 |
  2. URL |
  3. ぽけっと #X.Av9vec
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

B&Jさん。

> トラウマですか? もう、是非勉強していただいて、今後相談させてください!!
ご相談にのれるくらい、勉強できるといいのですが(笑)。

> 今回の東日本大震災で、かなりの仔たちが家族を失ったり、離ればなれとなりましたが、引き取って貰えなくて、東京で預かっている人たちが何人か知り合いにいます。
> やはり、何らかのトラウマがあるようなんですよ。。。
映像で犬がおびえてしまったり、牙をむいている様子をみたりするにつけ、
この震災での出来事が人間だけでなく、動物にも大きな影響を与えてしまって
いるんだ、と感じました。アニマルセラピーに関しては、まだまだですものね。
少しずつでも発展していくといいな、と思います。

> ノッティンガム、ミッドランドですが、冬は寒いらしいですね。毎日じゃなくても、冬の通学は辛そう。。。頑張ってください!
どうもありがとうございます!

  1. 2011/10/04(Tue) 03:29:30 |
  2. URL |
  3. haykichi #-
  4. [ 編集 ]

Re: トラウマ ・・・

ぽけっとさん。

ありがとうございます。誰にでも「チャンス」はめぐってくると、私は信じています。
ただ、そのタイミングを感じ取れるかどうか・・・が鍵になっているような気がします。
「今なのに!」とはたから思っても、その人の中でそれに対しての準備ができていないと
せっかくのチャンスも逃してしまう。
だからこそ、アンテナは高くしておきたいし、自分もそれに向けてできることを
やっておきたい。
短い人生。何度も「これだ!」と思えるようなチャンスが巡ってくることはないので、
それを逃さないようにしたいな~と思っています。

> 体験を乗り越える ことができなかった思い について 私もお聞きしたいです。
> 弱虫 と 片付けられている気持ちを どうにもできないこと。 抱く大いなる不安は 何処かへ除くことが> できるのか 教えていただけるなら うれしいです。

これがまさに、トラウマにあたるのですよね。
「弱虫」とレッテルと貼られてしまい、それがつらくて、次のことに挑戦できなくなって
しまう。今度は、それを取り去るためにどうしたらいいのか・・・答えが見つからず
また「弱虫」と片付けられてしまうのか、と思うと怖くて、また進めない・・・

トラウマ体験をしてしまうと、それを乗り越えられる人というのは全体の30~70%と
言われています。逆を言うと、30~70%の人は乗り越えられずに、つらい思いを
引きずっているということです。

この思いを取り去ることはできると、私は信じています。ただ、そのために
誰かの手を借りるか、何かの方法を思索するかの必要があると思います。
そんな思いを背負っている人の手助けができるのなら・・・そう思い、
勉強をしていこうと思っています。

もっともっと私が勉強をして、人の心の叫びを受け止めることができるくらい
大きな人間になれたら、いつでも、何でも聞きます。私でよければぶつけてください。
  1. 2011/10/04(Tue) 03:43:30 |
  2. URL |
  3. haykichi #-
  4. [ 編集 ]

よく、「神様は乗り越えられない試練は与えない」と言いますが、
見方を変えれば、「乗り越えられない壁ならば、それは進むべき道ではない」のだと、私は解釈しています。
何が何でもがむしゃらに突き進むのではなく、本来進むべき道へと導かれている証なのだと思うのです。
きっとhaykichiさんも、進むべき道へと導かれているのではないでしょうか。
学び続ける姿勢、本当に頭が下がります。
頑張って、楽しんでくださいね。
  1. 2011/10/05(Wed) 22:31:36 |
  2. URL |
  3. ecru #S2eFIt1.
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ecruさん。

> 「乗り越えられない壁ならば、それは進むべき道ではない」
乗り越えるために、どれだけのものを犠牲にしなければいけないのか、
そういうことも含めて道が開けてくるのではないかな、と感じます。
そういう時は無理やり行ってしまっても、うまくいかないような・・・
自分の経験ではそうでした。

> きっとhaykichiさんも、進むべき道へと導かれているのではないでしょうか。
なんとなく、そう思います。
でも、私は気がころころ変わりやすいので、また違うものを見つけるかも・・・。
それでも、こうして勉強することは無駄にはならないし、その先の人生に
いる自分も、今の自分がいるから存在するわけなので、そういう意味では
先が見えないから人生って楽しいのかな、と感じます。

> 頑張って、楽しんでくださいね。
ありがとうございます!
  1. 2011/10/06(Thu) 06:54:13 |
  2. URL |
  3. haykichi #-
  4. [ 編集 ]

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